こんにちは、システム・エムズの N0r10 です。

天文アプリ「Soranika」は、α 版を出す前から見た目をほめてもらえることの多いアプリでした。なぜそう見えるのか。作った側として振り返ると、判断の基準はずっと変わっていません。迷ったら、エモいかどうかと、Soranika らしいかどうかで選ぶ。ここで言うエモさは、夕暮れの山頂で空を見上げたときの、少し切ない静けさのことです。それを壊さないように、全部の画面を同じ場所に揃えてきました。

同じ建物の、別の部屋

最初に決めたのは「世界の果ての観測所」という世界観です。夕暮れの山頂にある観測所で、自分の目で空を見て記録する。地球儀の画面は管制室、夜空の画面は観測室。役割は違っても、同じ建物の別の部屋として作っています。

部屋をつなぐ印は、パネルの上の縁に通したシアンの細い線、一本だけ。ログイン画面にも、地球儀にも、夜空にも同じ線があります。灰色の区切り線ではただの仕切りに見えますし、画面ごとに違う印を付けると別々のアプリに見えてしまいます。

ランディングページを作ったときは、三つの案から一つを選びながら「Aがいいね。でも右寄りだったり、昼夜の切り替わりは左寄せだったり、下はセンターだったり、これはわざと?」と聞きました。返ってきたのは「半分わざと、半分は惰性」という答え。最後の中央寄せは「締めは中央」という慣習に流されただけだったそうです。結局、文章は全部左に揃えました。ログイン画面も左寄せなので、ランディングページからログインへ進むときも構図がつながります。

子ども向けのキッズモードでも、この考え方は変えていません。パネルやボタンはクリーム色と薄紫に総入れ替えしましたが、地球儀と宇宙の暗さはそのまま。絵本のような挿絵を入れる案や、背景を昼の空にする案は採りませんでした。子どもが見ても、同じ観測所の空であってほしかったからです。

左は通常の画面、右はキッズモードの画面。パネルの色はクリーム色に変わっているが、地球儀と宇宙の暗さは同じ

メニューまで観測所

最近、スマホの画面のメニューを作り直しました。Claude に頼んだのは「可能ならSoranikaらしいメニューがいい」。届いたのは、手帳のように項目が並ぶ案、地平線から出てくる案、項目が軌道に乗って並ぶ案の三つです。

手帳の案だと、Soranika らしさが上の縁の線しか残りません。ここは、らしさで決めました。選んだのは軌道の案で、メニューを開くボタンの印はオリオン座の三つ星です。

スマホの画面でメニューを開いたところ。観測手帖や言語などの項目が、同心円の軌道に乗って並んでいる

空は、見上げたときのままに

星座を見る機能では、私から「星座にはエモさが大事だからここはこだわりたいです」と頼みました。図鑑のように全部の線が引かれた空は、欲しくなかった。伝えたのは「星の光を頼りに星座を探す感じにしたい」です。こちらはエモさで決めた部分です。

なので、ふだんの画面には星しか出ていません。視線を向けた先に星座があると、一拍おいて線と名前が浮かび、目を離すと名残を引きながら消えていきます。

色の使い方も、観測所から来ています。観測所で明るいのは空だけです。色と光は、月や惑星、人工衛星のような空にあるものだけに使い、方角の文字や地平線には持たせていません。以前は方角の「W」が金色で大きく、衛星の印より目立っていました。私が「東西南北が目立ちすぎる」と伝えて、灰色の小さな文字に変えています。

夜空の画面の比較。左は方角の「W」が金色で大きく目立つ以前の画面、右は「W」を灰色の小さな文字にした、採用した案

空にあるものの中でも、描き方は分けています。月や惑星は光としてにじませ、人工衛星は小さな輪の印に。自然の天体か、人が打ち上げたものか、見ればすぐ分かります。

今の夜空の画面。左に光としてにじむ水星、右に小さな輪の印で描かれた気象衛星ひまわり

画面を揃えるのも、色を絞るのも、星座を隠しておくのも、迷ったときにエモさとらしさで選んできた結果です。見た目が強く見えるのは、その積み重ねだと思っています。

soranika.com